子供がまだ文字の読み書きができない3歳2か月の頃にフォニックスを学び始め、3歳5か月となったいまごろに、単語のアルファベットを指差しながら正しいフォニックス音を発せるようになりました。
わずか3ヵ月で大きな進歩を見せてくれて親として嬉しく思いますし、3ヵ月間のおうちフォニックスの取り組みにもっと自信を持つようになりました。
おうちフォニックスを行う上に大切な心構えと効果的な方法をお伝えしたいと思います。これからおうちフォニックスやおうち英語を始めたい方、おうちで小さい子供に英語を教える初心者の方のご参考になれば嬉しいです。
自宅フォニックス学習法の鉄則・・養育者が忘れてはいけないこと
子供に何かを教えるとき(特に自分の子供に何かを教えるとき)に、焦った経験はありませんか。
指導者(特に親)が焦ると、その気持ちが子供にも伝わり、進歩するところかかえって興味をなくすこともあります。
子供に英語を教える動機はご家庭によってざまざまな理由があります。
例えば、「自分が英語得意ではないけど子供には英語をうまくできるようになってほしい」という起点からおうち英語をスタートしたが、すぐ効果が見られず悩む方がいるとします。
「もっと英語をやらないと!」と思い、子供が他のことに集中しているときも何かしらの方法を使って英語に向き合ってもらう行動をとったら、結果はどうなりますでしょうか。
好きなことをやっているときにいつも「英語、英語」と言われると、子供が英語が嫌いになるかもしれませんよね。
子供の伸びしろにも影響するので、何を教えるにしても親が穏やかな気持ちで子供に接することは忘れてはいけません。おうちフォニックスを行う際、親が穏やかな気持ちを保てるための正しい心構えは2つあります。
自宅フォニックス学習法の鉄則① 英語習得ための3R(Rhyme、Rhythm、Repetition)要素を理解する
英語を学ぶに際して、3R(Rhyme、Rhythm、Repetition)の要素を意識すれば効果的に身に付けると言われています。具体的にはどういうことかというと、英語童謡を例に詳しく見ていきましょう。
まず、Rhyme(押韻)について、英語童謡のTwinkle, Twinkle, Little Star(キラキラ星)の歌詞を思い出してもらうと分かりやすいかと思います。
Twinkle, twinkle little star
How I wonder what you are
star、areのような似てる韻を使うことはRhymeを意識したものだと分かりますよね。
次に、Rhythm(リズム)と言えば、英語童謡の音楽の部分を思い浮かぶ方が多いと思いますが、実は音声学においてのリズムの定義によると、リズムとは強い音節と弱い音節を交互に連続して使うことによる規則的なパターンのことです。Twinkle, Twinkle, Little Starでリズムについて詳しく見ていきましょう。
Twinkle, twinkle little star
How I wonder what you are
下線が入っているところは強勢音節であり、それらの強勢音節がリズムを作り出している、ということです。
そして、3つ目の要素Repetition(繰り返し)は文字の通り、繰り返して練習をするということです。童謡で考えた場合、ほとんどと童謡は何度でも同じ単語や構文が歌詞の中に出てきますよね。繰り返すことで子供の語彙量が自然に広がります。
効果的なおうちフォニックスを行うために、Rhyme、Rhythm、Repetitionを意識することは大切です。
自宅フォニックス学習法の鉄則② 内的動機付けは外からのコントロールよりよほど効果がある
動機付けと言えば、あなたはどんなことを頭に浮かべますでしょうか。
子供に「○○したら、△△してよ」、「○○したら、ご褒美するよ」など言っていませんか。
動機付けに関して教育心理学の分野で幼稚園生に対してある研究が行われたそうです。
小さい子供は大抵お絵かきが好きですよね。
研究者はお絵かきが好きな幼稚園生を2グループに分け:
・Aグループに対して「絵を描いてほしい」
・Bグループに対して「絵を描いたらみせてください。よくできたらご褒美をするよ」
と伝えて、その変化を観察する実験を行ったようです。
では、子供たちはどのような変化があったでしょうか。
ご褒美をもらえる2週間の間と、その後の変化を見てみましょう
ご褒美をもらえる2週間の間:
・Aグループの子供たちは大きな変化が見られませんでした
・Bグループの子供たちはご褒美をもらうためにとにかく絵をたくさん描くようになりました
ご褒美をもらえる2週間が経った後:
絵を描いてもご褒美をもらえない日常に戻ったところ、
・Aグループの子供たちは大きな変化が見られませんでした
・Bグループの子供たちは実験を始める前よりあまり絵を描かなくなりました
つまり、ご褒美をもらえる間では外的動機付けが働いていたが、最終的に元々好きだったことが外からの余計な報酬を与えることによってしなくなった、という結果になった、とのことです。
おうちフォニックスを行う際、子供が学び続けるための動機付けが大きなテーマになります。
外的動機付けが学びの動機付けになっていないとは言い難いが、内的動機付けを促進していくための働きが大切です。
参考文献:三宅芳雄・三宅なほみ『新訂 教育心理学概論』 放送大学教育振興会
【自宅フォニックス学習】効果的なおうちフォニックスの進め方
では、3Rと内的動機付けを意識したおうちフォニックスの取り組みはどのようなものでしょうか。
3ヵ月弱で、元々文字を読めなかった3歳の子供がアルファベットを覚えたうえ正しいフォニックス音を発せるようになり、日々フォニックスを楽しんでいる効果的なおうちフォニックスの進め方(入門編・初心者向け)をご紹介します。
効果的なおうちフォニックスの進め方について、入門編においては具体的に、①英語耳を鍛える⇒②フォニックス音を覚える⇒③フォニックス音とアルファベットをリンクさせる、ブレンディング力を高める、といったステップに分けられます。
フォニックス学びのファーストステップとして、最初①は英語の韻律的特徴に敏感になってもらうことです。つまり、英語耳を育てて、英語に対する感度を高めることです。
英語耳を養う方法と言えば、「○○の有名な高額教材を買って聞き流すじゃないか」とコストに不安を思っていませんか。
おうちフォニックスを行う際は高額教材ではなく、家庭が手に入れやすい教材を使うことをおすすめします。英語耳を鍛えるために3Rと語彙量が肝要で、有名な教材かどうかは関係ないので、高額教材でなくても、子供にかける負担が少ない英語圏の音楽レッスン教材やMother Goose童謡をうまく使えば英語耳を作れます。
遊びは子供の自分から学びたい気持ちを引き出していけるので、ひたすら音楽遊びをして、子供の英語に対する感度が高めたところで、次に②はフォニックスの基本音をフォニックスの曲で学ぶステップに移ります。よく知られている童謡のメロディーで作られている短いフォニックスの曲にアクション付きで学ぶことで、子供は愉快なメロディーに合わせて体を動かしながら、ストレスなくフォニックスを学べます。
そして、③フォニックス動画を活用しながらフォニックス音とアルファベットのリンクやブレンディングの練習をしていきます。自分のフォニックス音を発しながら行動する可愛らしいアルファベットのキャラクターが主役になっているフォニックス動画を通じて、子供はさまざまなユーモアなストーリーを楽しみながら耳に入った音と目に入った文字を無理なくリンクすることができます。ただし、フォニックス動画はあくまでも子供の興味を引き出すきっかけ作りのツールであり、日々親子で一緒にブレンディングを練習する時間を作ることが肝要です。
【自宅フォニックス学習】おうちフォニックスのおすすめ教材
【自宅フォニックス学習】おうちフォニックスのおすすめ教材①Jolly Songs

Jolly Phonics(ジョリーフォニックス)は、イギリスのJolly Learning社のフォニックス学習教材です。
開発者の スー・ロイド(Sue Lloyd)氏は元イギリスの小学校の教諭です。スー・ロイド氏は教育現場で伝統的なLook and Say(見たままの単語を覚え覚える)手法より、単語や文を読む前に一つ一つの文字の音を覚えるSynthetic Phonics(シンセティック・フォニックス)手法のほうが結果的に高い読書レベルに到達することを実証しました。
ジョリーフォニックスはスー・ロイド氏の読み書き指導ノウハウの集大成であり、今は世界で100か国以上の国で英語の学びに導入されています。
ジョリーフォニックスの特徴としては五感を使って、Phonicsの基本42音(ルール)をJolly Songs(42音の曲)に合わせてアクション付きで学ぶ、という特徴があります。小さい子供でも夢中していけるアプローチですので、おうちフォニックス初心者の方でフォニックス音を覚えるためにおすすめの教材です。
ちなみに、ジョリーフォニックスの指導法を独学して本格的におうちで子供を指導したい方ははじめてのジョリーフォニックス ―ティーチャーズブック―(日本語表記)が参考になると思います。付属CDに基本音42音とJolly Songsが収録されています。
【自宅フォニックス学習】おうちフォニックスのおすすめ教材②Alphablocks Box Set

AlphablocksはイギリスのBBCが子供向けに制作されたフォニックスの教育テレビ番組です。
キャラクター化されたアルファベットの26文字がそれぞれ違う性格があり、自分のフォニックスの音を出しながら、ほかのお友達と繋いで、いろいろな単語をしていくことが特徴です。
例えば、キャラクターwは泣き虫でよく「ウォ、ウォ」で泣きます。
wが泣きながら、eとtと繋げていくと、/w-e-t/で「wet」という単語が紹介されます。
Alphablocks Box Setは5枚DVDセットで、難度低から高までStep by Stepでエピソードがまとまれています。1エピソードの所要時間が5分程度なので、きりがよいところで親がとめればテレビ見過ぎる心配がなく、ブレンディング練習のきっかけ作りに最適です。

【自宅フォニックス学習】おうちフォニックスのおすすめ教材③SKILL SHARPENERS Reading(Grade K)

SKILL SHARPENERS Reading(Grade K)はEvan-Moor社が出版した幼稚園生向けのワークブックです。
先生たちの集まりで作られたEvan-Moor社の教材は世界90か国以上で利用されています。
Reading(Grade K)ではフォニックス音とアルファベットをリンクするためのさまざまなワークシートが含まれていて、例えば、基礎的な点つなぎや塗り絵、文字なぞりから、カードの切り取り、単語の聞き分け、簡単な文の読み取り演習などです。
フォニックス音を学び始める方、ブレンディングを練習し始める方に大変おすすめの1冊です。
《参考》おすすめおうち英語教材
最後に・・おうちフォニックスの内的動機付けを育てるために
おうちフォニックスを行う上に養育者の心構えと効率的な進め方をご紹介しました。
「本当に効果があるのか?」と思う方もいらっしゃると思いますが、我が3歳児が短期間で成果を出しているアプローチです。幼少期の言葉の学び経験は一生の宝物と言われているぐらいですので、半信半疑でもぜひ取り組んでみて頂きたいです。
ちなみに、教育心理学では学びの動機付けはお友達と一緒に考えて一緒に遊ぶのなかで育てることができると言われています。ぜひ子供たちが安全で学び合える仲間を作ってみてください。




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